長森佳容:
「最後まで手を抜かず ~ 3・2・1 ゴーシュート!!」

こんなの描きたい!

――:最終話について、最後に一枚絵をたくさん描かれてたと思いますが、アニメに出てこない原作のキャラクターもたくさん出てきましたよね。

長森:はい。『02』の最終話の時にも、最後にイラスト風に描かれてるものがあったと思いますが、最初はなくて。続編の『Gレボ』も決まっていたので、当時の竹内監督が割とあっさりと終わらせる予定だったんですよ。でも、「タイトルとしては終わりだから何かそれっぽいことしませんか?」っていう提案をして、こっちで何カットかイラスト風に描いてみて、「こんな風にしたいんですけど」って提出して、ああいう終わりになりました。

長森:『Gレボ』のときも、本当はBEGAメンバーのその後しか描かれてなかったんですが、「3年間やってきてこれで終わりなんだし、もう少しキャラを出しませんか?」っていう提案をして。次の『バトビ』(『B-伝説バトルビーダマン』)のキャラを作りつつ、最終話の作画監督やりつつ、自分で「こんなの描きたい!」っていうのを適当にレイアウトして、それをd-rightsにチェックお願いしたらオッケーをもらえたんで、使えることになりました。自分で原画描ききれないものはレイアウトだけ出して、他の方に原画を描いてもらって修正だけしたカットもいくつかありますけど、終わってから見返してみると、「ああ、こいつも出せば良かった」とか、「なんでキョウジュだけ2回出てるんだろう」とか(笑)。

長森:キョウジュはね、監督が最初に書いたBEGAのカットで、ミンミンのライブに行ってたから重複しちゃってるんですけど。よく見てみると大転寺会長どこにも出てないんですよね(笑)。キョウジュの実家のラーメン屋にもいないんですが、あそこではっちゃけてるのはキョウジュじゃなくて、会長にしとけばよかったなって思ってます(笑)。あの辺はスケジュールがなくてボロボロ状態だったので、色々追いついてなくて……。

長森:あと、『無印』の時の資料がこっちにあまりなくて、探してもらったりもしたので何枚かはあったんですが、詳しくはわからず。チームWHOなんかは、「顔を半分隠してそれっぽいキャラクターにしよう。ユーロチームを襲ってるチームWHOでいいじゃないか!」って感じで描きました(笑)。

長森:対戦してる絵面にしたのは、個人的にこういう対戦見たかったねっていうカードでしたね。リックはもともと、ニューヨークとかあの辺のダウンタウンで番長っぽいキャラだろうから、誰か相手いないかなーと、原作チラチラ見てたら蛭田いるじゃん!ってことで入れました。「アメリカ修行にくる蛭田でいいじゃない、でも蛭田のことあんまりよく知らないんだけどな(笑)」と思ってましたが。フェルナンデス兄弟も、『02』の時にキングとクイーンがいたから対称的でいいかと思って描いてみたりとか。あとは、本編では描かれなかったユーロチームとバルテズソルダの戦いも見たかったので、一応そういうカットを作りました。本当に作りたいカットを作ったっていう感じです。

――:『Gレボ』には登場しなかったスティーブやイワンがいたのも印象的でした。

長森:せっかくいるのに出てこなかったからね。スティーブに関してはアメフトやってたし、怪我したことでいいやって、後付けで(笑)。イワンは、国に帰ればまた一緒に頑張ってるんだよというニュアンスで、あのカットを作りました。2人とも初めて描くキャラクターでしたが(笑)。あと、サイバーチームや原作のライバルたちは、「次は俺たちがタカオのところに行くぞ!」というイメージで海外から戻ってきたりとか、タカオの町へ向かってる雰囲気を出しました。もし何かで続編があるなら、こいつらとも戦ってほしいなと思ってね。

――:『ZEROG』も最終話に何枚かカットを描かれてましたよね。

長森:うん、『ZEROG』も本当はもっとカット数を描きたかったんだけど、既に台詞が入ってたから思うように描けなかったんだよ。1枚はこっちのミスで、モブキャラが喋ってるところに1つ入れちゃったから、それが使えなくなったりとか。もう少し時間があれば描きなおせたのに、残念ながらそれができなくてね。後で確認したら、使えなかったということでした。本当だったらあそこに深海と遊が入るはずだったんだよ。終わってからよく考えてみると、キラがあそこで眼帯外してても良かったかなと思ってます(笑)。もともと、悪っぽく見せるために眼帯してたので、自分たちで自由にやるようになったなら、外していても良かったですね。そしたらオッドアイだったかどうかは知らないけど(笑)。

長森:あのカットを描く話も打ち上げ会場で出たからね。「作ってよ」と言われて、「え、もうフィルムになってるけどいいんですか?」という感じで。『メタベイ』(『メタルファイトベイブレード』)では自分で話数持つこともなかったので、イメージも考えるほどの余裕もなかったから。でも、監督の方から「やらないの?」と言われて、「やっていいの?」と言いながら作りました。ほとんどできあがってるところにはめ込んでいったので、『爆転』(『爆転シュートベイブレード』)の30話みたいにストーリーの中に組み込む形にしたんですが、自分でも竜牙さん本当にどうなったのかなと気になってたので、最後は天に昇る竜のカットにしてみました。『4D』(『メタルファイトベイブレード4D』)のときに微妙な消え方をしたので、キャラとして出すわけにもいかないだろうなと思って。イメージで竜を出してみて、「気づく人だけ気がつけばいいか!」という気持ちで描きました。

――:なるほど。それでもファンとしては嬉しかったです。途中から15分になったり、『ZEROG』は地上波で完結しなかったので歯がゆい思いをしました。

長森:監督いわく、『ZEROG』もうまくいけば2年目もやる予定だったらしいんですが、事情で続けらなかったじゃないですか。本当は世界大会もやりたくて、だから途中で「世界各国の~」のように、それを匂わせるようなことを翼が言ってたり。続きがあれば世界各国のブレーダーたちも7年後の姿が描けたのにね。それがなかったから、最終話で少しだけ出したりしたんだけど。

長森:『ZEROG』が7年後の設定ということで、ぼんやりとした7年後のイメージがあるキャラクターもいたからそれを出しました。「正宗、お前は絶対に坊主だ!」と思ってたから坊主で、キョウヤは盾神コーポレーションの社長までいかなくても、ある程度の位置にはいるだろうからスーツに。「絶対に目悪くないけどだて眼鏡かけてるでしょ!」とか、その2人は真っ先にイメージがあったので描きやすかったですね。あとは本編見ながら膨らませていって、本当は氷魔さんとかも描きたかったんだけど(笑)。あの人本当に何やってるんだろうね(笑)。

長森:あとWBBAでは翼が本部長になってるけど、流星やヒカルは描かれてなかったから、監督と相談したわけではないけど、何らかの上のポジションに就いてるんだろうと思いつつそれも描きました。ケンタも原作では出てきたけど、アニメには出てこなかったからね。原作ではマドカみたいなポジションにいたけど『コロコロ』は女の子があまり出せないからそういうことになっていて、だから「ベイ」も、女の子はアニメオリジナルの子が多かったりしたじゃないですか。

――:『ZEROG』に入ってから『爆転』のオマージュキャラクターが何人か登場しますよね。

長森:あれは完全に悪ノリ。もう終わるの決まってたし、元々出てくる幻獣が四聖獣に近いところの生物をモチーフにしていたのもあって、玄十郎は亀だし、「あ、じゃあやるか」と思ってやりました。キャプテンアローはワイバーンだったんですけど、遠くはないかなと思ってタカオに。監督から仮面をつけて欲しいとの要望をいただいていたので、帽子のかわりに仮面にして、髪型とか色彩はそっちに近付けようということにしました。

長森:その2人ができていって、次にスパイクなんですが、バッテン傷をつけようというイメージはこっちにあったので、「ここはダイチだよな!」と。格闘家モチーフとの要請もあったので、短髪でプロレスとかレスリングやってそうな雰囲気を作りました。最初はその3人だけだったのかな? でも次に白虎がくると聞いて、白虎モロやん(笑)となりながら、小さくて子供っぽい腹黒キャラという指定もあったので、糸目でレイの身長をそのまま小さくしてバイフーができました。

長森:最後のカルラも本当はもっと美形だったんですが、監督に、「いや、こいつは美形じゃないんで。」って却下されて。モヒカンでインドとかそっちっぽいイメージにしてくれとのことだったので、髪色は近づけて頬にマークも入れたし、よくわからないキャラだから、「包帯ぐるぐるにして最終話周辺のカイっぽくしようか!」とか。衣装もじゃあそれっぽくしてみようかと思って、黒のジャケットにダボダボズボンを履かせてみたけど、モヒカンはちょっと残念だよね(笑)。

――:長森さんが「子ども向け」の作品に携わっているのは何故でしょう。

長森:一番はやはり、僕も子ども向けが好きということですかね。子ども向けのアニメを見て育ってきているし、昔はホビーよりロボットが主流でしたが、そういうものに「格好いいなあ」とか憧れを持ってきたので、同じように子どもたちも熱くなってくれればいいなと思ってやってます。基本的には人畜無害だと思ってるし。人によって感じかたは色々あるだろうけど、ホビー物はグロくないし。エロでもないし。まあ、エッチくらいはあってもいいんじゃないのとは思いますけど、そういう意味でホビー物は大好きなので。自分で遊べたらそれはそれで楽しいしね。

長森:『爆転』が終わって、『バトルビーダマン』を担当して、続編の『クラッシュビーダマン』からは僕が関わることはほぼなくなりました。そのときにちょうど、『きらりん☆レボリューション』の話がきて。自分のペースを乱すためにも少女漫画もやってみようかと思ってたら、『デュエルマスターズ輝(フラッシュ)』の話もきて、キャラクターデザインだけなんですが、同時進行でやることになりました。かと思ったら『爆丸』のキャラデザも頼まれて、『きらりん』が終わったら『メタベイ』も始まるということで、間も空かずに色々やらせてもらいましたね。あのときが一番かけもちが多かったです。

長森:『きらりん』と『爆丸』と『SCAN2GO(スキャン2ゴー)』という海外だけのミニ四駆のアニメなんですが、キャラクターを全部やらせてもらっていて、さすがにそれだけかけもちしてたら本編はできなかったんですけど。『メタベイ』が終わってからも、2年くらい『ベイウィールズ』という海外の作品を担当させてもらったり、それは玩具が外国でしか出ないので、日本放映はされなかったんです。ちゃんと日本語で声も入ってるのに残念だなと思いますね。

――:はい、とても残念です。海外の作品を含め、長森さんのこれからの活躍も楽しみにしています! 本日はありがとうございました。

長森:ありがとうございました!

line line line line line line line line line line line line line line