ICE BAHN:
「NO RHYME, NO LIFE ~ 『カタさ』へのこだわり」

そこがラッパーがラッパーたるゆえんなんだけどね

――:一番韻を思いつくのはどのようなテーマの曲を書いているときですか?

KIT:FORKはエロ。

一同:(笑)。

FORK:でも、そうね。一番ユーモアを出せるのって、男は下ネタじゃん、基本。まぁ、自分の興味あるのが一番出るんじゃないかな。

玉露:大げさに言うと、いち日本人としての主張が俺ものすごく強くて、でもICE BAHNの玉露として、この立場から日本を変えようってのはそんな思ってないから。テーマが無い方が良いっていうか、あんまり絞られると……まぁ、そこがラッパーの腕の見せ所でもあるんだけど、テーマ無い方が書きやすい。

KIT:俺、結構フロー大切にするんだよね、まず音を聴くじゃん。そしてテーマが決まるじゃん。そうするとフローでも表現できるわけ。そこにライミングもあるんだけど。音に乗っかったフローでやるから、そういう意味では、俺はアップテンポな曲とかバラードとかよりは、渋い曲が書きやすい。

――:ライム至上主義は不変と歌詞でもありますが、逆に活動してから変わった事ってありますか?

KIT:主義は変わってないと思うけど、表現する方法は洗練されてきたかな。

FORK:韻を踏むという事に関していえば、踏み方ってのが常に変わってったりする。あと自分的に飽きてくるって事ももちろんあるし、それがいいか悪いかは別として、同じ事ばっかやれないし。ただ基本的に、ライムをおいしく聞かせるために、どうするかってのは変わっていってる。あとは、ライブで基本笑うなって鉄の掟があったんだけど。白い歯を見せるなっていう。むかしに比べて最近やわらかいっすよね。

KIT:そうだね、むかしは本当に笑わないグループとして。

FORK:ステージの上で笑顔見せるんじゃねぇって掟があった。

玉露:多分それTSUBOIの影響かもね。

KIT:むりやり笑わされたもんね、あることないこと話されて。

FORK:歌詞カードとか見たらわかるけど、くだらないこととかもスゲーいっぱい書いてるし。人のためになるようなことをやってるわけじゃないけども、基本的には大マジでそれをやるっていう。相手に、これ笑っていいのかなっていうくらいのスタンスでやるっていう。まぁ、それは最初っから変わんないっちゃ変わんない。

玉露:無いかもなぁ。音楽的な部分はもちろんそうなんだけど、音楽以外の周りの人間と比べると、相当数失ったものって多いと思うんだよな。いま俺37だけど、それこそ普通にサラリーマンやってて、係長だ課長だって人間がいてさ、単純に金額的な部分もそうだし、俺ら普通のサラリーマンなんかより絶対儲かってないし。例えば、今からそういった人たちの世界にポーンと飛び込んだとき、同い年の人達より全然常識無いし。社会的なね。それはいいんだけど。そういった失ったものがかなりあって、それはむかしはホントはくだらなく感じてた部分も最初はあったの。

玉露:この年になってそういう人たちとも、それこそレコード会社の人たちと接するときとか、葬式行ったときとか、死んだ人に対してどういう対応をするんだとか。全員ヒップホップの仲間じゃないからさ。だから、そういう人たちに対しての対応も覚えないといけないかなーって。それは変わったかな。最初はくだらねーって思ってたけど、年重ねていくとそういう意味では変わってきてる。でも、それは別に俺は変わっただけで、若いやつらに強要しようとは思わない。でも今そう感じてる。

――:韻を踏む上での一番の苦労ってなんでしょうか?

KIT:一番の苦労と言えば言葉でしょ。踏んでいけば少なくなっていくところを、いろんな角度変えたりして増やしていかなきゃいけない。そこ!

玉露:多分ね、もう名詞と名詞だけで踏むっていうのはおそらく出尽くしてると思うんだよね。それこそ、今年の流行語とかで、新しい言葉が出てこればいいんだけど、その1つの名詞に対して名詞で踏むってのは、もう出ていいんじゃないの。その名詞を、例えば動詞と助動詞に分けて踏むとか、接続詞に分解して踏むとか、そういう踏み方を常に考えてるよね。だから一番苦労するのは、俺は踏むのはハッキリ言って、もう朝飯前ってか超余裕なんだけど、それを1つのみんなのテーマにあわせていくのと、あとはビートにあってるか。小節数ってある程度限られてるから、そこで無理のない自分のフローに持っていく中かつテーマがある。そこがラッパーがラッパーたるゆえんなんだけどね、そこがやっぱり一番苦労する。

FORK:まったく被らないという意識で書いてはいくけど、知らないところで被ってたりもするだろうし。実は、韻と韻があったら、そのあいだの部分が一番重要で、同じものでなくどう聞かせるか、何を言っていくかによって変わってくると思うから。使い方次第で同じように踏んでるけど、そのもっていきかたとか、それに言っている内容とかの、うまい下手ってのは優劣があると思うから、韻と韻との間かな。

自給自足できる人間ってのが、このさき生き残っていくんじゃないかな。

――:今までの4枚のアルバムそれぞれ『STARTREC』が冬、『OVER VIEW』が秋、『Loose Blues』が春、『RHYME GUARD』 が夏っぽいなと思ったのですがそれは意識されてたんですか?

FORK:感じちゃったーそれ?

玉露:こいつがこういうこと言う時は、そうじゃないときなんだよ(笑)。そういわれたらそうだね、まったく意識した事無いね。

KIT:でも『STARTREC』は確実に冬っぽいよね。ジャケットとかを見ててもね。

玉露:雪解けじゃないけどさ、言い方が適当かはわからないけど、精神がどんどんポップになってきてるっていうかさ、むかしスゲー構えてたの。なのにだんだん柔らかくなってきて。雪がとけてきて。

KIT:それはあるかもな。

FORK:ひょっとしたら、制作時期がその季節だった可能性もあるよ(笑)。

KIT:うん、でも両方あってると思う。制作時期もそうだし、精神的な面でも雪解けしてるっていう。ほんと、最新バージョンの玉露のリリックなんかふざけてるからね。

――:『RHYME GUARD』ではほとんどBEAT奉行さんのトラックでしたがこれからもBEAT奉行さんのトラック中心で曲を作っていくんでしょうか?

奉行:そうっすね。

玉露:いやだな、いやだな。

KIT:はっきり言ってやだよ。それはちょっと真剣に考えていて、今後がどうなるかは約束はできない。以上!

奉行:ちょっと待ってくださいよ~。中心ですよ。

KIT:そうだね、中心です。

玉露:俺はそれちょっと思ってるね。なぜかって、これも結構いろんなところで言ってきちゃってるんだけどさ、ドラムがいて、ギターがいて、ベースがいて、ボーカルがいてってさ、そのバンドの色じゃん。そういった意味で、ヒップホップがいまいちミュージシャンとして認知されない理由ってそこだと思うんだよ。誰でもできちゃうっていうか、その日、ちょっとごめんライブDJいないからやって、って言ったらできちゃうっていう。それが良さでもあるんだけど、悪さでもあると思うんだよね。その悪さの部分が俺はおもしろく思わないから、代わりがきかないやつをやってって。だから音も奉行以外でできちゃうんだけどね、現実は。でもやらないっていう事が、カッコいいんじゃないかな。ホントはやなんだよ(笑)。

FORK:要は、自給自足をしていけないと生き残っていけないっていうことなんだよ。やっぱ自分たちだけで、BEAT奉行が音をつくって、俺らがレコーディングをして、ボーカルブースがあって、プレス担当があって、KITさんがミックスして、全部自分たちでできるっていう状況がないと、やっぱりこの先難しくなる。自給自足できる人間ってのが、このさき生き残っていくんじゃないかな。

――:ブログで平成27年(2015年)に5枚目のアルバムを出したいと書かれていましたが、どのような感じで進んでいるでしょうか?

玉露:うん、まったく進んでないね。わかんないけど27年は難しいな。ただ音はあがってるからさ。俺結婚してさ、なかなかみんなで集まれる時間が少なくなってきたからさ、ちょっと物理的に難しいけども。その目標は掲げてるね。さっきの自給自足じゃないけど、俺らってジャケットとかも、ポスターとかも、タオル、Tシャツ全部、アーティストに関わるものは本当に友達って言える間柄で全部できるから、そこがひとつ強いんだよね。流通もね、CD屋に置くのも知り合いに頼めるし、売るやつも友達に頼めるし、俺らのやる気次第なんだけどね。

――:今日は長い時間ありがとうございました!

    ■ 4th ALBUM『RHYME GUARD』

    唯一守る主義主張 それがRHYME至上主義。 変化ではなく進化し続ける難しさ。 その難解に答えた作品のみ13曲を収録。 定価2,800円(税込)

    ■ ICE BAHNのオレンチ通信

    Podcastにて配信中

    ■ ICE BAHN official web site

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