ICE BAHN:
「NO RHYME, NO LIFE ~ 『カタさ』へのこだわり」

ヒップホップの4大要素のひとつであるラップ。そのラップの中でも重要な要素の1つである韻。その韻にこだわる男たちがICE BAHNだ。彼らの韻への姿勢は妥協を許さず、堅く踏みつける。それに加え彼らのグループとしての結束の固さにも着目した。彼らの「カタさ」に迫る。

2015年2月

取材・文/岡部 祐樹 協力/池田 鵬之

  • ICE BAHN
  • 右から、玉露(MC,リーダー)、BEAT奉行(トラックメイカー、DJ)、KIT(MC)、FORK(MC)からなる男性4人組ヒップホップグループ。2001年に結成され、2度の脱退があり、2012年にBEAT奉行が加わることにより現在のメンバーになる。 そして2013年7月に4枚目のアルバム『RHYME GUARD』を発売。B-BOY PARK MC BATTLEやULTIMATE MC BATTLEなど、国内の主要なMCバトルにおける受賞歴も華やかで、韻に対するこだわりやスキルはシーンの内外から高く評価されている。
  • ■ 4th ALBUM『RHYME GUARD』
  • 唯一守る主義主張 それがRHYME至上主義。
  • 変化ではなく進化し続ける難しさ。
  • その難解に答えた作品のみ13曲を収録。
  • 定価2,800円(税込)
  • ■ ICE BAHNのオレンチ通信
  • Podcastにて配信中
  • ■ ICE BAHN official web site

韻ってすごいヒップホップの文化だと思うのよね。

――:そもそもヒップホップとの出会いはどこでしょうか?

KIT:レゲエをもともと聴いていて、リミックスでヒップホップのビートでレゲエをしてるバウンティ・キラーのアルバムを聴いて、ヒップホップのビートがすごいカッコいいなと思って。それでヒップホップを聴きはじめた。

――:最初は韻ではなかった?

KIT:そうだね。

――:それは何歳くらいのときですか?

KIT:高校生のころだから16、17くらいだね。

BEAT奉行(以下奉行):俺は、中3の時にビースティー・ボーイズでラップを知って、後にヒップホップだってことに気付いたって感じっすね。

玉露:俺は中3のとき、『元気が出るテレビ』の「ダンス甲子園」で(知って)。もともと運動が好きだから、ダンスカッコいいなってのが出会いかな。

FORK:わたくしはですね、俺ら世代ではすごくベタなんだけど、中学生のころにスケボーをやりはじめて、スケボーのビデオに流れていたのがヒップホップで。そっから高校1年生のころにターンテーブルを買って、最初はDJからはじめて。だから俺もラップよりも音が先だったかな。

――:みなさん逆からだったんですね。

FORK:うん。それでDJやってくうちに海外のヒップホップから、日本にもヒップホップがあるんだって知って、それを自分でもやってみたいと思った。だから高1からDJ。高3からラップ。

――:最初は日本語ラップがあるってのも知らなかった?

FORK:そうだね。最初はむこうのヒップホップがカッコいいと思った。

――:そのヒップホップの中でもラップ、韻にこだわった理由ってなんでしょうか?

FORK:日本語のラップを初めて知った時に、一番おもしろいなと思った部分が、韻を踏んでいるところだった。最初にアメリカのヒップホップを聞いたときに、韻を踏んでるってことを知って。それを日本語でもやってるって事に気付いて、自分がラップをやりたいって思ったときに、歌が歌えるわけでもないし。ラップで韻を踏むってことに関してだったら、オリジナリティを出せるんじゃないかって思った。

玉露:俺はやっぱ、ラップは韻を踏むもんだ。そう聞いてたっていうのが一番でかいかな。誰からっていうのはもう忘れちゃったけど。ラップといえば、韻を踏んでおもしろいことを言うもんだって思ってたし、今も思ってる。

KIT:(最初は韻を)全然知らなかった。初めてラップやったときも、全然理解してなかった。最初は、ただラップしてただけだった。意識するようになったのは二人(玉露、FORK)のおかげ。もともと俺は、ラップに対するトライはライムじゃなくてフローだったのね。レゲエをながいこと聴いていて、ブラックミュージック自体すごい好きだったし、韻ってすごいヒップホップの文化だと思うのよね。

FORK:唯一KITさんだけ、バンドとかボーカルとかの経験がある。

KIT:そう。音楽が好きで遊び半分もあったけど、ずっと携わってはきてた。

――:リリックを書くときに何を使っているんですか?

玉露:俺は専用のボールペンと、あとルーズリーフ6枚。大きい机持ってて、うえに3枚、したに3枚ひろげて、右下になぞるようの紙があるから、ネタをためるようの紙を置いて、パズルのように組み合わせるのが多いかな。メモ用紙とかも、前は持ち歩いてたけど、めんどくさいから、レシートの裏に、パっと思いついたことを書くとかはある。

FORK:「俺はまったく逆で、手帳サイズのリリック帳かiPhoneのメモ帳か。iPhoneだと頭の中でできてから、バッーとかく。

玉露:カッコよろしいっすなー。

KIT:いや、字が汚いだけ。人に見られたくないってのもある。自分で見てもわからなくなる。

FORK:暗号みたいな。またiPhoneが字綺麗なんだ(笑)。

玉露:フォントがな(笑)。

FORK:そうそう(笑)。リリック帳はほんと手のひらサイズのしか持ってなくて。基本じっとしてられないから、机に向かってとかは無いかな。車の中とか移動中とか、そういう時に書く方が多い。

KIT:書くときは絶対紙とペン。一応リリック帳ってのは持ってて、手帳サイズよりは大きいんだけど、普通のノートサイズよりは小さいってのがこだわり。それはなんとなく。

――:基本みなさんアナログなんですね。

玉露:え? 待って他にどんな方法があるの? パソコンとかってそういうこと?

FORK:いや、いまパソコンでやってる人多いっすよ。

KIT:例えばさ、いま書いたとこクシャクシャって消して、他のところに結びつけるでしょ? リリック書くってそういう作業なんだよね。

玉露:そうそうそうそう。

KIT:だから、パソコンだと相当頭の中でまとめてから清書してるだけじゃん? そうじゃなくて、思いつきをどんどん書いていって、細かい語尾とか接続詞とかを修正していって書いていくから。

玉露:だから超汚くなって1年後とか数年後に見たら、そっから何を起こしたかわからない。

KIT:そうだね、だからそういう風に書く。

――:横浜っていう土地だからこそ受けた影響ってありますか?

FORK:結果横浜にいるから、それが普通だからさ。横浜だからこうなんだってのはわからないけど、でもOZROSAURUSとかは歳で言えばオレの1個上なんだけど、高校生の時から全然違うステージにいて。それが同じ横浜にいるって事には、すごい影響を受けたかも。凄すぎてマネしようとは思わなかったけど。

玉露:ICE BAHNって横浜って思われてるふしがあるけど多分、雑誌媒体とか音源含め、俺とKITから横浜って言葉はおそらくでてないと思う。それは地元が横浜じゃないし。KITは横須賀で俺は葉山。だから活動拠点は横浜なんだけど、逆に横浜を強く推してるアーティストにちょっと申し訳ないというか、そういう部分は感じてたねオレは。別に俺らそんな横浜推しじゃないんだけど、神奈川って思われたら、横浜って思われるのも致し方ないかなって。だから肯定も否定もしてこなかったんだけど。

玉露:でも、活動拠点が横浜ってのは間違いないから。そういった意味で、横浜ってのはすごいアーティストってのがいっぱいるから、その中で埋もれないように戦うことにスゲー必死だった。だから、俺らが横浜っていう風に見えてくれているっていうのなら、その中である程度結果出せた結果だと思うし。切磋琢磨っていう意味で、横浜っていう土地は良いよね。レゲエのすごい人たちもいるし、ヒップホップのすごい人たちのなかでもいろんなカラーあるし。そこで埋もれないためには、どれとも被っちゃいけないわけで。そういった意味ではすんごい必死だった。

KIT:玉露の言ったとおり、活動拠点は横浜だけど、正直俺は横浜横浜はしてないし。

玉露:俺らからしたら、横浜って憧れの土地だったよね。小中高のときは大都会で。

KIT:今では横浜のライブも多くなったけど、昔は東京の方が多かったし。おれ横浜に憧れてるかもな。

玉露:綺麗だしな。

FORK:実際横浜のシティボーイなの俺だけなんだよね。

玉露;これ、一度いってほしいんだけどね、横浜って広いんですわ。その広い中でもFORKさんは一番田舎に住んでるの。僕はここをみんなに知ってほしいね。

FORK:となりに広大な空き地があるからね。

玉露:それでシティーボーイだからね。

FORK:まぁ、笑わせんなって話だよね。

――:以前、みなさんが納得したトラックができないと、曲を作らないとおしゃっていて、韻と共にトラックにも強いこだわりを感じたのですがどうでしょうか?

FORK:俺はトラックありきで書く。まず音が先にあって、そのトラックがカッコいいと思わないと創作意欲がわかない。このトラックかっけーと思って、それでラップしたいと思って初めて思い浮かぶ

玉露:やっぱ、ラッパーは物書きであることは間違いないと思うんだけど、小説家とか詩人とか、俳句を読む人ではないと思う。トラックにのせてはじめてラッパー。だから同じくらいこだわらないと、それはおかしいっていうか。自分たちの書くようなリリックに合ったトラックていうのはいつも探してるよね。

KIT:トラックがないとラップできないですよね。直感だよね。第一印象。でもさ、俺がそんなに気に入ってなくても、2人が好きだって言ってるトラックに対してチャレンジしていくと、また新しいのがうまれるじゃん。好きなトラックだけでやらなくてもおもしろいよね。『RHYME GUARD』では一曲だけDJ YUTAKAさんだけど、ほとんどBEAT奉行のトラックで、こいつが「これでやってくれ」っていうトラックをあえてやった。

玉露:全員が納得っていう意味は、全員が好きってわけでもないの。お前がそこまでいうならやるよっていう意味なの。だから、例えばそこまで嫌ならやめるよってのもあるし。そういう好き嫌いとは違った納得だよね。

KIT:そうやって、また新しい自分が想像したより上の音もできるわけじゃん。そういうチャンスもあるわけだし。もちろん、こだわりはありますけどね。

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