三木一馬:
「メディアミックスは失敗しないことが大事」

それぞれの作品に合うメディアミックスの種類と背景

――:鎌池和馬さんの10周年を記念して、電撃文庫では、プロサッカーチーム、東京ヴェルディとのコラボや、新作小説の発売、新たな作品のアニメ化発表など、かなり大きな仕掛けをされましたが、どのような展開の仕方をしたのですか?

三木:10周年などの大きなプロジェクトは、2年くらい前から考え始めるんです。10周年と言えば、小学生が大学を卒業する位の年月が経っているわけで、それはそれは大変な時間だと思っています。トレンドや市場が変わって、作品を知らない人たちもどんどん増えてくるんですよね。

三木:10周年としては、いったい何をするんだと考えた時に、10年間にいろんな人たちと知り合えましたので、この区切りを迎えた時に、面白い話に乗ってくれる人もいるだろうから、いろいろ自分たちで考えていこうと。まずは社内の人間を招集して、10周年プロジェクトを作りました。鎌池さんには、「2年後に10周年企画をするんですけれども、この中で面白そうなものを教えてください」と、前もって出しておいた20数個ある企画の中から意見を伺いました。

三木:その後もいろいろプロジェクト内で吟味して決めていきました。もし全部叶っていたら20展開だったんですが(笑)、没になる企画もあって10展開に収まりました。その展開のひとつ『一番くじ』については、そもそも「『禁書目録』などで、また一番くじをやりましょう」と以前よりバンプレストさんからお話をもらっていたんです。『禁書目録』は、アニメ版でも一番くじは出していましたが、今回は鎌池和馬10周年というテーマで一番くじをやっていただきたいとお願いし、10展開の中に入れさせてもらいました。

三木:東京ヴェルディとのコラボについては、もともと立川観光協会のみなさんが、地域振興のためのイベントで、毎年『禁書目録』を取り上げてくださっていたんです。立川市は東京ヴェルディのホームタウンの1つで、アニメ『とある科学の超電磁砲』最終話では、味の素スタジアムをモチーフにした会場で戦いました。それを見ていたヴェルディのサポーターの皆様が「これは是非コラボをやってほしい」と盛り上げてくださいまして、そうしたらヴェルディの広報さんがこちらにご連絡をくださって成就した、という次第です。東京ヴェルディさんはゲコ太カラーですし、縁起良いですよね(笑)。  

三木:本としての展開では、鎌池さんの新シリーズを発表したり、画集を出したりしました。もちろん『禁書目録』の最新刊も。これからも、『鎌池和馬はまだまだやるぜ!』というアピールをしていけたらな、と思います。

――:ということは、鎌池さんの作品のキャラクター盛り込み小説や、『ヘヴィーオブジェクト』のアニメ化なども2年前から決めていたことなのですか?

三木:確かに候補としてはありましたが、そのあたりはタイミングもありますね。だから、10周年には間に合わなかった企画も3つぐらいあるんです。その企画はまたこれから順次発表していきますので、楽しみにしていてください。このようなプロジェクトは他のレーベルの編集部ではあまりないと思うのですが、部門や会社の枠を超えて企画を動かしていくという、サークルリーダー的な役割を電撃文庫の編集者は務めることが多いですね。

――:では、アニメ化の際に、アニメ会社と原作者の方針が合わないときに調整するのも、渉外としての編集者の仕事でしょうか?

三木:そういうことがあれば、編集者の仕事でしょうね。監督、脚本家、原作者とみんながクリエイターですから、それぞれにやりたいことがあるんですよね。その互いの落としどころを見つけて、届けたい視聴者に届けるのが大切だと思います。

――:作品の映像化においては、入間人間様の『嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん』が実写映画化しましたが、それは誰の案だったのでしょうか? ライトノベルの実写化は珍しいと思うのですが……。

三木:『みーまー(嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん)』に関して言うと、当時はまだ別会社だった角川映画の映像事業部のプロデューサーさんが、実写映画化しませんかとオファーをくれまして。入間さんに聞いてみたら、「いいですよ」と快諾してくださったので、こういうメディアミックスも『みーまー』ならありなんじゃないかと思いまして、チャレンジしてみました。

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