城咲あい:
「ダンサーとしての生き方」

元・宝塚歌劇団娘役、城咲あい。宝塚歌劇を退団後 、Live等の芸能活動をおこなうと共に、ダンスカンパニーlastaに所属し、ダンス講師としても活動している。今回のインタビューでは「ダンサー」としての彼女に注目し、宝塚歌劇との出会いや、退団後に所属しているダンスカンパニーのこと、ダンス講師としての活動などを通して、彼女独特の考え・活動・生き方に迫った。

2014年9月

取材・文/薮内 亮 協力/岡部 祐樹

  • 城咲あい
  • 宝塚歌劇団86期生。2000年花組公演『あさきゆめみし』/『ザ・ビューティーズ』で初舞台。その後、月組に配属され、様々な新人公演や特別公演でヒロインを演じる。2009年、宝塚歌劇を退団、卒業。2010年に自身初のディナーショー「I2(アイ・スクエア)」を開催。Live活動など精力的に活動している。現在はコンテンポラリーダンスカンパニーlastaに所属し、公演や発表等で活動するともに、Dance class『eclat』を主宰する等、ダンス講師としても活躍している。
  • 「城咲あい公式ブログ」
    「Lasta公式ウェブサイト」

「私は将来あそこに立つんだ」ってなんとなく思っていて……

――宝塚のご出身ですが、まずは宝塚や舞台に興味をもったキッカケは何なのでしょうか?

城咲:もともと、祖父母がけっこう宝塚を好きだったんですよ。母はそんなにそういうのに興味がなかったみたいで、母はすごく勉強が好きな人だったから、母は受験するとかそういうのもなかったんです。一方、2つ年上の姉がいるんですけど、姉が宝塚を小学校のときですかね、好きになって。私はよく分からなかったんですけど、やっぱり2つ年上だから、姉が好きだから一緒に見てて、でもそのうちになにかこう……知らないうちに「私は将来あそこにいるんだ」って思い込んでいて。受験があるとも知らなかったし、小学生のときに「歌えなきゃいけない、踊れなきゃいけないな」ってことをなにも考えずに「私は将来あそこに立つんだ」ってなんとなく思っていて……。

城咲:小学校4年生のときかな? 姉が6年生のときに、「紫禁城の落日」っていう、日向薫(ひゅうが かおる)さん主演のラストエンペラーの話をやったのを見て、姉妹二人とも影響を受けているんですけど、、姉はすごく中国が好きなのでそっちの勉強をしはじめて、私はそれを見て宝塚に入るって決めて、そこから4年生のおしまいくらいからバレエをはじめました。周りが好きだったのでなんとなく見出したんですけど、知らないうちにこう(宝塚に)入るんだって思っていて、作品を見たときに「よし!受けよう」と思って、バレエを習わせてほしいって母にお願いしました。

――:中学を卒業してすぐ宝塚音楽学校に合格されましたが、受験生時代の印象的な思い出やエピソードは何かありますか?

城咲:受験スクールがけっこう今はあるんですけど、そういったところに入ったほうがいいのか、入らなくていいのかが分からなくて。私は入らなかったんですけど、ただ、そういう受験生を専門に教えているところに連れて行かれたことがあって、「一回、周りの受験生も見てみなさい」って言われて。私の周りはあまり受験する人もいなかったので、見てみなさいって言われて見に行ったときに、「あぁ、こういう世界なんだ」と思って。

――:受験スクールの受験生が、ということですか?

城咲:そうですね、スクールの人達がすごく宝塚を意識したレッスンをしていて、ただ踊るだけじゃなくて人に見てもらう――最後はもちろん舞台にあがる事が目標ですけど、受験の当日に試験官の先生達に見てもらう、その先生達の目に飛び込むんだっていう、熱意と踊り方とか歌い方をしているのを見て、「全然違うんだ!」と思って。私は自分の近所のバレエスクールでずっとバレエをやってきて、歌は声楽の先生に習っていて、やっていたことと全然違うってわけじゃないけど、こういうことなんだな、宝塚を受けるって、というのを、そのときすごく思ったんです。

城咲:私はもともと身体を動かすのが好きで、バレエをはじめてからはもうバレエが楽しくて。9歳のおしまいくらいでバレエをはじめたんですけど、週に7日バレエに行ってて、驚異的に1年半くらいでトウシューズを履いて、普通は5~6年かかるところを3年目くらいに主役をやってて。小さなバレエスタジオだったんですけど、でもそのときに、受験の話とはちょっとズレるかもしれないけど、私、頭がすごく悪くて、兄と姉がいるんですけど、すごく二人とも優秀なんですよ。今も昔もずっと、私だけ落ちこぼれだって意識があって。で、バレエをはじめたときに、自分がすごく夢中になれることだったし、その中でやればやるほど少しずつ上達していくのを自分で感じていて、あんまりはっきりではないんですけど「自分はこういう道が向いているのかもしれない」って、ぼんやりと子供心に思ったのはすごく覚えていますね。私はお兄ちゃんやお姉ちゃんとは同じ道じゃないんだなって。

城咲:ただただ、後はダイエットが……、そんなこと言って良いのかな?(笑) でも、人に見せる世界だから、そこに自分が行きたいわけだから、まだ音楽学校はそういう段階ではないけれど、そこに受かるためには、やっぱり人に見せられる身体? 変な言い方ですけど。とくに日本っていろいろな演劇もあれば、日本だけじゃないけど、踊りもあれば歌もあるし、やっぱり宝塚は総合芸術で、あそこの世界が一番優れているのは、どこの世界よりも華やかで美しいところ。だからそのためには、人に見せられる身体をつくっていかなきゃいけないっていうことで……。でも、成長期だから食べたら食べたぶん、肉が付くんですよね。だから子供のときは、それがすごい辛かったです。やっぱり、食べたいし、遊びたいし。遊んでる時間なんてなくて。

城咲:今、受験生をいっぱい教えてるんですけど、子供のころって、自分がこれがやりたいって目標があっても、それが皆と違うと。皆と同じこともしてみたい、テレビも見たい、皆と同じようにドラマの話もしたいだとか、皆が渋谷に買い物に行ってるのに、私はレッスンに行くだとか、それを我慢しなきゃいけないって気持ちがすごく強くて。

城咲:チョコレートを食べたい、でも太っちゃいけない、ですごく我慢しているときに、母に一言、「そんな10何才の子供が我慢しているときに、よく頑張ってるね」とでも言ってくれるのかと思いきや、うちの母は「あなたがやりたいことなんだから当たり前でしょ? それが我慢できないんだったら、そんな中途半端な気持ちだったら、受験なんて辞めてしまいなさい!」「私はあなたを宝塚に入れたいとか、入ってもらいたいんじゃなくて、あなたが入りたいって言うから私は応援しているんだ」「そんな買い物に行きたいだとか、テレビが見たいだとか、チョコレートが食べたいだとか、そんなことを思うくらいだったら辞めてしまいなさい」って何回も言われて……。

城咲:そのときは子供だから「そんなこと言われても……」って思ってましたけど、今になって言われて、良かったなって思います。やっぱりそのくらいの覚悟がないと、子供でも入れない……そんな感じでした。

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