HI-KING a.k.a. TAKASE:
「ナラノラッパーの言葉」

リリックについて

――:続いてはリリックの部分についてお聞きしたいのですが、リリックはどういった環境(場所やタイミング)で書かれているんですか?

タ:俺はいつでも書きたいなって時に書くねんけど。自分のノートがあって、無かったら別にレシートの裏とかでもええんやけど(笑)。基本色々書き溜めてるノートがあって、書きながらこないだ書いたやつどれやっけ?て見たりして書いてる。

――:パソコンで書かれる方もいると思うんですけど。

タ:そういう人も結構おるんやけど、とりあえず機械に超疎いから(笑)。遅いねん、まず打つのが。これが一個ストレスというかワンクッションになってもうて。だからボールペンでノートに書くのがええねんけど、なかでもわかるかな? リングノートみたいな。ちゃんとめくれるやつが良くて。しょうもないこだわりやねんけど(笑)

――:パソコンだと消してしまうところもノートだと残っていたりという話も。

タ:あーそやそや。俺、別に楽器出来へんし、楽譜も読めへんし、そういう音楽の知識は全然ないんやけど。例えばこういうテンションで歌うとか、ここは半笑いで歌うとかを、謎の自分だけにわかる記号とか矢印で書いてたり。

――:それは後で読んでもなんとなくわかる?

タ:いや、わからへん(笑)。でもなんか意味があるんやろなと。一ヶ月ぐらいまではわかるねんけど、かなり前とかやとこういう記号が流行ってたんやな、自分の中でって感じで。みんながどうとかはあんま知らんねんけど、これはリリック帳ではないねんけど(ノートを取り出す)。こう曲のアイデアとかが書いてあって。でも字が汚いし煮詰まったりした時に落書きとかしてるから人にはあんまり見せられへん(笑)

――:続いてタカセさんのリリックなどについての特徴というか、自分のスタイルというものについてお聞きしたいんですが。

タ:サイタマノラッパーに出してもらった時にサントラとかにも参加させてもらって、その時に音楽担当してた太整さん(※岩崎太整:SRシリーズやモテキなどの音楽を担当)に褒められたことがあって。ちょっとレイドバックていうか、リズムの後ろに音を置いてるって言うてくれはって。それが良いって言うてくれるねんけど、自分ではあんまりわからんくて。俺は別に後ろに乗せてるつもりもなく、オンタイムで乗せて、ずらしてるつもりもないんやけど(笑)。太整さんが言うには、リズムがあるやんか、それを一個ずらすとかじゃなくて、もっと細かい間隔でずらしてるのがかっこいい、気持ちいいて言うてくれはって。外人とかやと結構多いらしいねんけど。曲録ってる時も楽しなってもうて、太整さんがそこは「1タカセ」ずらそうか、とか言うて(笑)

――:アルバムとかを聞かせていただいていても、そのテンポだったり韻の詰め込み方とかに圧倒されたりするんですが、ご自身の意識されているスタイルというものは?

タ:何を言ってるか聞きとれるってことかな。歌詞カードを見てわかるっていうのもおもしろいんやけど。生で聞いてパッと分かるものにしたいと思ってる。めっちゃシンプルなことやけどMCとして大事なことかなと。

――:昨年のインタビューでのお話で、宇多丸さんも「聞いてわかる言葉でやりたい」と仰っていて。タカセさんが最初にくらったのがライムスターだという部分で、すこし影響があるのではと感じるのですが。

タ:確かに。それはあるかもな。やっぱり何言ってるかわかってこそのおもしろさが在ると思うから。そういうのは活かしていきたいね。おもしろカッコイイバランスというかさ。

――:そういった中で、次に目指す歌詞の境地などはあったりしますか?

タ:今、またアルバム作ってて。今まで出してきた曲とかからも思うのは、1枚目に出した「Rhyme Viking」の中では内容より、言葉遊びとか韻とかラップとしての面白さを重視してて、でもそういうのは段々と曲を出していく中で引き出しが増えて。今では意識せんでも出来るようになってるんちゃうかと思ってるから、次は普段の自分らしさっていうものを表現したい。普段普通に喋ってて冗談言うたり、怒ってたり、悲しんでたりっていうラッパーの自分というより、いちタカセとしての部分を曲に出来たらなと思ってる。そこを表現しながらラップのスキルって言われるものを叩きこんで作りたいと思ってるかな。

――:リリックを書く際に重視されている事はありますか?

タ:例えば、俺がニュース見て難しい話あるなと思った時、それを見たまんま歌っても伝われへんと思ってて。それを自分の言葉とか、自分の例えを混ぜ込んで意見にするというか。それが答えやっていう自信とかがあるわけじゃなくて、聞いてる人にどう思う?っていう疑問を投げつけることがやるベキことやと思ってて。そういう真面目な話でもそういう切り口で歌うか!ていう自分らしい切り口っていうのを楽しんでもらいたいと思ってる。

――:ご自身でリリックを書く際によくこの文化の単語が出てくるなというようなものはありますか?例えばサイプレス上野さんだとプロレス関連の言葉が多かったりという様な。

タ:なるほどな。好きやもんな(笑)。俺やとどうなんやろ……。食べ物とかはちょっと出てき易いかな。曲によっては食べ物成分多すぎて減らしてみたりとか(笑)

――:「Rhyme Viking」はアルバムとしてのテーマが「食」でしたよね。

タ:そやな。ジャケットのアートワーク的に音楽と重なるイメージがあった。料理とかも好きやし、出てきやすいかもな。他は……逆になんかある?(笑)

――:野球の話題とかもたまに、野茂だったり。

タ:野球かー。バスケはやってたけど。野球はめちゃくちゃ下手くそやから(笑)。その時にすごいと感じたから入れたんやろうな。あ、その時代とか、この時歌ってたんやなていうのがわかる言葉っていうのは結構入れるかもしれん。曲によっては。

――:次にですね。リリックを書くときと、フリースタイルをする時では頭の使っている部分が違うというお話を耳にするんですが、その辺りはどうですかね?

タ:野球かー。バスケはやってたけど。野球はめちゃくちゃ下手くそやから(笑) その時にすごいと感じたから入れたんやろうな。あ、その時代とか、この時歌ってたんやなていうのがわかる言葉っていうのは結構入れるかもしれん。曲によっては。

――:次にですね。リリックを書くときと、フリースタイルをする時では頭の使っている部分が違うというお話を耳にするんですが、その辺りはどうですかね?

タ:そやな、違うと思うわ。例えばフリースタイルにも種類があって、バトルとセッション的なものがあると思うねんけど。バトルにおいては俺はちょっとプロレスに近いもんがあると思ってる。見てる人を楽しませる方が面白いし、そういう意味で「闘う」っていうエンターテイメントを見せた方がおもろいと思ってて、だから地元の大会みたいなのやとよくあると思うねんけど、決勝で知り合い同士が当たって『お前もヤバいけど~』みたいなあるやん。一瞬褒め合うみたいな。そういうのはすごい嫌いで(笑)。

タ:リスペクトがあるのは当たり前やけど8小節ていう短い中では、そういうのは削ぎ落として闘いを見せたいと思うし、その方がおもろいと思ってる。普通のマイクリレーやと前の人が何言うたとか、次こういうこと言おうみたいな普通に喋ってておもろいことを言うような感覚。喋ってる時に噛んだのにこいつ話し続けるやん!みたいな(笑)。だから途中で噛んでもそれはそれでおもろいかなって思う。そういう所は普段の歌詞とは違うかな。

――:フリースタイルの上手い方は普段のリリックでも韻の詰め方が上手いなと感じることが多いのですが、そんな意識などはあったりしますか?

タ:んー、それは踏む時は踏むけど、それで何を言うてるかわからんっていう形にはしたくないから。だから韻はリズムを作る武器の中の1個って言う風に考えてるかな。昔は韻をすごい意識してた時もあって、普段喋ってる時とかも韻の手帳とかを持っといて、気付いたらダジャレみたいなもんでも書いてたりしたねんけど、もうキリなくて(笑)。だから曲とフリースタイルでの違いやとやっぱり曲はテーマを意識する点が大きいかな。自分で決めたテーマからは離れへんようにと。でも1行目を書き始める時はいつも即興なわけやから、そういうのを積み重ねて出来るものが曲ってことかな。

――:時期的に追い込まれたから浮かんでくる発想とかもあったりしますかね?

タ:そういうのも確かにあるけど、やっぱりテーマからははみ出したくないからその中で書く。例えば優しめの曲書かなあかんけど、むっちゃ怒ってる時もあると思う。それでも怒ってるなりの優しさみたいなものを書けるようにって考えてる。ずっと幸せな生活を暮らしてる人に怒りの曲って書かれへんかもせんけど、その中でも怒りの感情を表現してみるとか。そんなところから普段の自分らしさ。いちタカセの書いた歌詞っていうのが生まれるんやと思う。

『Rhyme Viking』 2008年発売 HI-KING 1stアルバム。全15曲、客演なしの名刺代わりの一枚。

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