山本慶(溺れたエビの検死報告書):
「『溺れたエビ』の全貌に迫る!」

フジロック参加の裏側に迫る

――:去年フジロックに参加されようと思ったきっかけは、なんなんですか?

山本:「アノマロカリス」が去年3月末にリリースされて、その宣伝目的が本音でした。本当に出れるとは思ってなかった。だって結成して……10年以上経っちゃってるし(笑)

――:確かにそうですね(笑)

山本:正直ルーキーじゃないですし(笑)。まぁ、でも何かしらの宣伝にはなるかなぁと思ってとりあえず送ってみたら、スマッシュから電話が来た次第です。そもそも、応募のきっかけに関しては……ほとんどメンバーやスタッフのノリでしたね。とりあえずアルバム出たから送ってみる?って(笑) リハ終わった時にみんなでエビマスクかぶって、レンガ作りのスタジオの外壁で普通にスナップ写真みたいな感じでプロフィール写真撮って送って……(笑)

――:本当ですか!?……凄い。フジロックに初参加された感想は?

山本:感想に関してはメンバーによってバラバラだと思うけど……正直、僕個人としては忙しすぎて全然楽しむ余裕がなかったですよ。やることが滅茶苦茶沢山あって。

――:どういうことですか?

山本:タイムテーブルとか色々とシビアなんですよ。

――:それは、フジロック自体が?

山本:そうです。当日が雷雨で大変だったのもあるけど。本番前に製作側に渡す書類だとか、そういうのも沢山書いて出さないといけないですし。事前に色々用意しなくちゃいけないんですけど、現地に行ってもまだ準備する事も沢山あって。特にエビは他のルーキーさん達よりも倍以上の大所帯だし、衣装やマスク・楽器なんかも多いからそれに追われてて、他のステージをほとんど何も見れなかった。唯一見たのが、あの日のヘッドライナービョークのアンコール……最後の最後だけ(笑)

――:同じステージに出てた人とかも見れないくらい忙しかったということですね。

山本:そうですね。僕個人は正直ワーイ!フジやぁあー!とか手放しで喜んで楽しむことは全然出来なかった。他のメンバーはねぇ……、僕とは打って変わってめっちゃ楽しんでましたよ!(笑)

――:他に参加されたフェスなどの情報ってありますか?

山本:えっと、フェス……最近名前が通っているので言えば、昨年秋にあった舞音楽祭。ヘッドライナーはAsian Dub Foundationでした。それから、確か2003年には京都のボロフェスタ。結成して間もなかったから出番も一番最初で出てましたね。あとは名古屋の製作会社さんが主催しているコダマっていうイベント。会場は長野と愛知でした。他もD.I.Y.型の各地域でやってるサーキットフェスが多いですね。フジやサマソニ級で名の通った誰でも知ってるって言うのであればフジロックだけになりますね。

――:フェスに出る時は多忙と先程お聞きしましたが、普段ライブハウスでされていることと、ステージの広さや場所って全然違うじゃないですか。そういう場面でパフォーマンスとして意識したことはありますか?

山本:基本的にはパフォーマンス自体は何も変わらないですよ。時間枠も決まっていて、前もってゲネ(本番と同じに行う通し練習)で時間を測って、フジを例に出すなら30分の中でキッチリ収まるように計算してやっているので、内容は普段のライブと一緒でしたね。決められた時間枠に凝縮して自分たちが伝えたい事・やりたい事を簡潔に示すっていうのは、計算してやってるので。フェスだから違うなんて感覚は特になかったですね。基本は一緒です。

山本慶氏に音楽に土地柄は有ると思うかについて尋ねてみる

――:音楽っていうのは自分は土地柄っていうのがあると思ってるんですね。京都だったら叙情的なメロディ・リリック(歌詞)だとかそういったものを重視している気がして、大阪だったらごちゃごちゃしたようなアバンギャルドさ……みたいな。

山本:はいはいはい、あぁ、なるほどね……。

――:京都で結成・現在の拠点が大阪って点から、その土地柄っていうのに溺れたエビも合致してるんじゃないかと思ったんですけど、山本さんご自身はどう思われますか?

山本:エビに関しては当てはまらないような気がするなぁ……。大阪に拠点を移したっていうのは特にそういうところじゃなくて、単純に大阪在住のメンバーが増えたんですよ。それと、エビマスクなどを作ってるアトリエが、京都の方では狭くて、条件の良い所に住めるのが大阪寄りにあったので制作にどっちが好条件やったかという理由で……大阪側に越して来たから音楽性が変化したって訳じゃないですし……うーん。

――:では、その土地土地のシーンを感じることなどはありますか?

山本:それは感じますよ。

――:その中でエビはどこがそのシーンっぽいと感じたりしますか?

山本:……うーん、確かにライブで東京だとか名古屋とかいろんな所に行ってみて、この土地のお客さんの方が盛り上がりがアツいっていうのは少しあったりしますね。例えば名古屋とかはね、割とエビにはアツいんですよ。微々たる差なんですけど、それでも感じますね。京都は……例えて言うなら、お客さんが右脳より、左脳で聴いてる感じはちょっとしますね、昔から……。

――:ははぁ、なるほど。

山本:誤解を恐れずに言うと、酒飲んでワアアァッ!て感じじゃなくて、フンフン、なるほど……っていう風に、凄い冷静に見られてる感じはする。あとね、決定的に違うのは京都はハコ(ライブハウス)の作りが特殊……って言うのかな。座席のハコが圧倒的に多いんですよ。飲食、いわゆる居酒屋っぽい作りで、座って飲み食いしながら観るっていうハコが凄く多い。それが悪いってんじゃなくて、正直、現在のエビのライブパフォーマンスではやりづらいんです。ライブやる時にこっちも色々気を遣っちゃうんです……。だって客席とかもガンガン使いますから。

山本:エビは基本的に大所帯、大機材ですし、本当にやりたい事が再現しにくい所が多いんです。環境的にね。その点では大阪はハコの数も圧倒的に多いし、ステージングの広さで確保出来る会場が多いっていうのはありますね。演出的に僕らのパフォーマンスがやり易いか、やり難いかっていう点だけです。だから、京都のハコでやる時は結構、綿密に打ち合わせしてからやってますよ、いつも。

2ndアルバムの進捗は?

――:では、2ndアルバムについての事をお訊きします。CDの収録曲は明るい縦ノリで楽しめるような曲が多め……ということになるのでしょうか?

山本:そうですね。まぁ、さっき話したように1stとは多分全然違うものになります。別バンドかと思うくらいに。1stみたいな壮大な感じのものは入れるとしても1曲はあるかなぁ……入れようかなぁ……どうしようかな……?って迷ってるぐらいで。

山本:インディーズである限りは自分達のしたいことをシンプルにやりたいなと思っています。もし大手のレコード会社に所属したとして1stみたいなプログレッシブで壮大な路線で行け!って言われたら勿論作るけども、今はインディーなので、今現在の溺れたエビの楽しくハッピーな感じで行こうと思っています。本当はね……1stと2ndって同時にリリースするつもりやったんですよ。

――:あー、それ確かギューンカセットのインタビューで仰ってたような……。

山本:そう。1stはクラシックの組曲みたいなイメージだったんで、最初は4曲に絞って行こうかと迷ったけど、それじゃちょっと物足りないので、「ワシャワシャ!! グギャギャギャギャ!!!」を追加して5曲にしたんです。話を戻すと、自分たちの売り方として、プログレバンドでも無いしダンスバンドでも無いし色んな事をやってますよ、出来ますよっていうのを提示したかった。なので、2枚同時に出したかったんですけど……まぁ色んな条件が噛み合わなくて、バラして出すことになったんです。2ndは結構、キャッチーなものになると思いますね。

――:ずばり、今の進捗状況でいつごろ2ndは完成すると思われますか?

年内は多分無理です……とだけ(笑)

――:(笑)

山本:えー……うん(笑) 2ndは、まぁ何曲収録するか未定ですが、10曲近くにはなるので。もうネタとしてあるのが「イソギンチャクノ上デ踊レ!」や「The D-Shrimp Carnival」だとか色々ストックはあるんだけれど、もうちょっと新曲も作らないといけないね。

――:では、舞台で今やりたいのがダンス的なものとなると、1stのシンフォニックなイメージの曲って、もうライブではあまり演奏されない予定なのでしょうか?

山本:そこは意外と計算高くて。アルバムに収まってる曲で「外骨格」「アルテミア・ノープリウス……」みたいな壮大……叙情的な感じの曲っていうのは、最近のライブではあまり出してないんです。「アノマロカリス」は必ずやるんですけど。他は演奏するとしたらアンコールとかでやってますね。最近のライブ構成ではノリの良い踊れる曲が大半、その中で中盤辺りにさっき挙げたみたいな叙情的な曲を入れると非常に効果的なんですよ。構成としてメリハリがつくので。今後エビがずっとダンス路線で行ったとしても、そこは変わらないでしょうね。起承転結っていうのかな。そういう構成はかなり考えてます。

――:なるほど、本日は貴重なお時間をありがとうございました。

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