山本慶(溺れたエビの検死報告書):
「『溺れたエビ』の全貌に迫る!」

溺れたエビの検死報告書:頭はエビ、体は人間。「溺れたエビのヲサ」と総合演出の「山本慶」(ヤマモトヨシ)が率いるアート集団。2001年京都で結成。関西を拠点に全国的に活動中。日本中の多数のミュージシャンやパフォーマー、芸術家がエビ人間に改造され、彼らの活動に参加。メンバーは全員、精巧な「エビ」の仮面を装着している(ライブ中に決して外す事は無い)。

その見た目(マスクや衣装)、派手なアクション、楽曲とその演奏方法が全て三位一体となるコンセプトやパフォーマンスは国内外、各方面から非常に高い評価を得る。本領を発揮するライブでは、ステージだけではなく、客席やその他のフロアを全面的に利用した三次元的な演出にも定評がある。

しかし表現する題材は常に、<溺れたエビ達が生息する>人間社会とは全くの異世界である水中(海中)がテーマとなっており、それは極彩色のサイケデリックな風景であったり、漆黒の深海であったりする。

近年ではTVや映画に曲提供/出演したり、独特の音色や奏法を活かしてセッションワークや他者(バンドや作品)にゲスト参加するケースもある。今回は、総合演出を担当する山本慶氏にお話をうかがった。 

2014年2月

取材・文/堀内建吾 協力/藤木涼介

山本さん

    (写真左から)山本慶氏、1stアルバム「アノマロカリス」

discography:2013年3月25日、関西老舗インディーレーベルのギューンカセットより、1stアルバム「アノマロカリス」をリリース。構想10年、製作3年の大作である。全国のインディーズ取り扱いCDショップにて、1994円で発売中。「外骨格」「Psychedelic Under Wate」「アルテミア・ノープリウスが泳いでいる。」「ワシャワシャ!! グギャギャギャギャ!!!」「アノマロカリス」の5曲を収録。

「溺れたエビの検死報告書」公式サイト Twitter Facebook

印象深いあのエビ達はこうして作られた

――:まず、エビマスクを製作する工程の際に非常に造形にこだわっているとお聞きしましたが、山本さんの気に入っている部分というのはどちらですか?

山本:こういう質問初めてだな(笑)。面白い。うーん、なにかなぁ……。

――:やっぱり、目ですか?

山本:目は、あれは後追いやねぇ。ステージングとしてどんな風に映えさせられるか……って部分だから。1つポイントとしては普通、被り物・着ぐるみ・ぬいぐるみ的なものってなんでもそうなんですけど、正面が割とこう……平面的でしょ。

――:確かに。

山本:それが溺れたエビの被り物の場合は、真っ直ぐ前に立体的にしてあるんです。よく勘違いされるのが、溺れたエビを見たことない人は(言葉の情報だけ受け取った人は)エビの顔が頭上に真上に伸びてるのを想像するみたいなんですよ。まさか真正面に突き出ると思っていない。3次元的に飛び出した造形、これが自分的に気に入ってる部分かな。

――:なるほど。ステージで演奏するときってあれは邪魔にはならないんですか?

山本:正直邪魔ですよ(笑)。邪魔ですけど、そのためにリハとかをやるので。最初作ったときは自分で作っといて、いざ被ると全く何も演奏できなくて、焦りましたけどね(笑)。

――:ライブの映像を見たんですけど、マスクはどういうふうになっているんですか?

山本:じゃあ見てもらっていいですか? 現物を持ってきているので。

――:どこ持ったらいいか全然わからないですね。

山本:これは多少のことじゃ壊れないので大丈夫ですよ。元々はですねぇ……もう1つ赤いのがあるでしょう? これが……初代のじゃないけど、2012年くらいまで約10年間くらい使ってた旧タイプなんですよ。素材が全然違う。こっちは紙で出来てるんです。ペーパークラフトみたいな感じで作ってから、それをポリエステル樹脂で固めてます。

山本:溺れたエビの名称が英語明記だった初期の頃と、発想としては同じ作り方なんですけどね。フォルムがどんどん進化していった感じですね。最初に紙で作ったものは割と本物のエビに近いんですよ。というのも初代のモデルは本物のエビを普通のスーパーで買ってきて、これを頭をもいで分解して、ピンセットで細かく各パーツを全部ばらして、虫眼鏡で観察して、どう人間サイズに拡大してみようかっていうのをスケッチして、考えて作ったんですよ。

山本:で、約10年間使って、2011年ごろから素材を全部プラスチックで作りたいと思うようになったんです。

――:その心境の変化の理由は?

山本:1つは実用的に、耐久性の維持がいるんですよ。旧モデルは結構壊れやすくって。もう1つは、プラスチックの方が軽くて丈夫やし、あと作りやすい上に発色がすごく良くて見栄えするんですよ。結構デザイン的に大幅にがらっと変えました。

――:今の方が、カートゥーン的というか、キャッチ―な感じがしますね。

山本:そうですね。モデルチェンジしたもう一つの理由がそこなんです。不思議なものでリアルにエビを人間サイズにするとエビに見えなくなるんです。ちょっと遠のくと虫にも見えるし、ドラゴンのようにも見える。日本人って、エビを普段から頻繁に食べたりして日常でよく接しているけど、顔ってよく見てないんですよね。なんとなくとんがって髭がでてるくらいのイメージ。常にこうデフォルメされたイメージで接してる。それを逆手に取ってわざとデフォルメしたものにしようって作ったものが今のモデルです。全然リアルではないんですけど、それでもまぁエビ。とんがって髭がついてたら、ほらエビやんかぁ!って分かってもらえるっていうね。

――:なるほど。マスクに着いている装飾、これはもしかして釣り具か何かですか……?

山本:ははは(笑)。そうです、そうです。あっちの緑のエビの装飾は、海をイメージさせるイヤリングがついていたり。これは004号、女性メンバーが被ってるやつなんで、まぁイヤリングでちょっと女子力を演出してるという(笑)。

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