パンダの穴:
「『いらないもの』は意外と人を幸せにする」

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パンダの穴【ぱんだのあな】:タカラトミーアーツが社外デザイナーとして電通テックを迎え、2013年、共同開発として誕生したカプセルトイブランド。顧客年齢層が高く、独特な世界感を持ち、売り切れ続出のラインナップはカプセルトイ業界の中でもひときわ異彩を放っている。 今回はそのクリエーティブ集団のリーダーである飯田雅実氏をはじめとした、電通テックのクリエーターに迫った。

2014年2月

取材・文/長谷菜摘 協力/廣瀬のぞみ

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(写真左から)飯田雅実氏:“パンダの穴”リーダー、伊藤真也氏:「サメフライ」企画制作、森昭太氏:「考えない人」企画制作、徳井伸哉氏:「FRUITS ZOMBIE」企画制作

よく売れるものよりも良いと思ったものを

――:そもそもなぜ「パンダの穴」という特殊なチームを作り、差別化をはかった上でカプセルトイ(以下ガチャ)を作られたのですか?

飯田:そもそもあまり他社を意識していなく、市場調査やマーケティングもしてないです。むしろ、マーケティングをやりたくないんですよ。マーケティングをすることで、責任逃れになるんです。調査で顧客が言っていることを元に商品を作って、それが売れなくても結局は調査した相手、顧客のせいに出来てしまうんです。他にも、マーケティングをすることによって、商品を作るのにある程度制約がかかってしまうので、面白いものが作れないんです。せっかく面白いアイデアがあっても埋もれてしまう。だから200円という範囲内で作れて、売れるものを考えるのではなく、自分たちが良いと思ったものを商品として形にするという点では他社とは違うのかな。だからこそ、売れるか売れないか、分からないようなアイデアも商品として考えてみる。これ売れないって思ったら絶対商品化しないはずなんですよ、普通の感覚で言うと。そういう意味で言うと、タカラトミーアーツの営業の方はドキドキしてるかもしれないですけど、そういうのは楽しいですし、大事にはしていますね。

――:顧客年齢層が少し高く感じるのですが、そういった、ブランディングの意識についてはどうですか?

飯田:顧客のターゲットとして大きく分けると、2つに別れています。ひとつは子どもで、もうひとつは大人で、主に10代から30代を意識している部分はありますね。子ども向けとしては、キャラクターものを作れば良いという感じがあるけれども、実はそれだけではなかったりするんです。その一方で大人向けは、主に男性よりも女性のほうが手に取ってもらえるように思います。顧客で言うとそういった意識はあって、他社と比べるより自分たちの感性で作っていますし、消費者が求めているものを作って出すのではなく、まずは、自分たちが良いなと思ったものを商品として世に出していきたいと思っていますね。

――:広告業と提携して作っているガチャならではの強みはありますか?

飯田:まず一つは、造形に関する精度ですが、僕らは実は、携帯会社のノベルティとかを作っているチームだったりするんですね。それをもう5、6年やっていて、そのおかげか、まぁそういうノウハウがすごく活きてるっていうのが一つと、あともう一つは盤面ですよね。盤面のデザインは、タカラトミーアーツさんに聞いたら、普通はコストの関係で、社内でちょっと写真に詳しい人が撮ってたりするんですね。僕らはここの盤面に、普段広告の撮影をしている超一流のカメラマンを使っていたりするんですよ。それはもう本当に贅沢で、そういうところでパッとした見え方がやっぱり違うと思います。そこが広告をやっているチームならではの強みではありますね。

――:下にラインナップ紹介が無いのもデザインを考えられての結果ですか?

飯田:そうですね。割と今までのガチャの盤面のデザインを、もうとにかく全部無視しようってことでやっていて。ちっちゃいゴチャゴチャしている情報も、できるだけ排除できるものは排除していただいて、本当ならタカラトミーアーツさんのロゴを入れなければいけないんですけども、先方から外しましょうか、と言っていただいたり、タカラトミーアーツさんの判断はすごく有り難かったですね。やっぱり、パンダの穴のロゴとタカラトミーアーツのロゴの両方が入ってると、なんかちょっとスッキリしないんですよね……。

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