高畑正幸:「文具王20000字インタビュー」 

文具王オススメ文具

――:では、最後は軽く。今のおすすめの文具ってありますか?

高:いまオススメの文具。色んなことをやって、店頭で実演とかもやってたりするし、あーそう、ぼく文房具のお店やってるんですよ。ここで買ってくれるとリーフレットをつけるんですけど、手書きで作った。

――:おお!

高:イラストをかいて、文章を手書きで書くっていうね。そう、お薦めか。何系が好きなんですか? 筆記具とか、そういう系ですか? それとも何か……。

――:そうですね、好きなのはやっぱり筆記具ですね。万年筆はラミーとか使ってるんですけど。

高:ラミーは鉄ペンなので、若干ちょっと硬いんですよね。

――:ほう。

高:万年筆なんかだと、これはキャップレスっていうシリーズで、ノックをすると出てくる。

――:おお、ペン先が柔らかい!

高:キャップレス持ち運びで書きやすいっていうペンです。あとは、日本語には向いている、エラボーってやつなんですけど、ペン先がちょっと変な形をしていて。

――:確かに。膨らんでます。

高:開くので、しっかり書けるペン。

――:あ。たしかに。さっきのキャップレスと違いますね。柔らかさといいますか、書き味が。

高:好みの問題なんですけど、色んなペン先があるよっていう。あとは、いつも僕が使ってる安い万年筆、プラマン。これは500円。

――:へー。

高:ペン先がプラスチック。サインペンなんで、使い捨てです。意外と書きやすい。

――:確かにこれはこれで。

高:それはそれで。万年筆かって言われたら違う、っていうことなんだけど。

――:へー! 楽しい。

高:そう。華やかなラミーとか有名な奴はいっぱいあるんだけど、そうじゃないところとかでも、筆記具でも、ボールペンなんかは種類がものすごーく多いので、そこらへんは人によるんですが。けっこう色々ありますね。好き嫌いも色々あると思いますけど。シャーペンでお好きなのは?

――:シャーペンですか。好きなのはグラフ1000っていう。

高:はいはい、それはアレだよね、本当に定番中の定番っていうか、名品だよね。

――:リミテッド版を使ってたんですけど、なくしてしまいまして、買い戻したくらいです。いくら探してもリミテッド版はもう手に入りませんでしたが。

高:あと、これは今のAppleコンピュータのMacなんかをデザインしているジョナサン・アイブが、昔学生だった頃にバイトでデザインしたっていう。シャーボ

――:へー!知らなかった! あと、テープのりで細いのないですか?

高:細いのはあんまりないね。テープのりは。ちっちゃいのはあるけどね、最近は。スティック型のやつもあるけど、テープのりは、もともとリール巻いてある時点で太いので、あんまり細いのはそんなにないんだけど、でも一応ドットライナースティックっていう、ノックタイプの縦長のはありますね。

――:おお。そうだ、高畑さんの筆箱の中身を教えてください。

高:筆箱の中身は……。まぁこれも時期によって違えてたりするので。

――:あ、立つ筆箱。

高:そう、立つやつが便利なので。中は、フリクションと、ジェットストリームの4色が入ってて、あと、KYBERっていう。

――:ノック式の蛍光ペン。

高:そう、ノック式蛍光なんだけど、スマホで写真を撮ると、蛍光ペンの部分をテキスト化してくれるっていうKYBERっていうサービスがあって。

――:すごい!

高:これはすごいよ。KYBERのメモ帳もあって、すごいところは、ここに手書きで書くんですね、で、書いたものを、スマホで写真を撮ると、テキストに置き換えてくれる。

――:画像じゃなくて、テキストにってことっすか。

高:そうです。その代わり、そのノートが、普通の30ページくらいのノートで、一冊1000円くらいとかするわけですよ。それは、変換料が含まれてるから。

――:へぇ。おもしろい。

高:KYBERっていうサービスをiPhoneの中に入れといて、ぺって写真を撮ると、ノートを持ってなくても、テキスト化をするんですが、1文字0.2円で変換してくれるの。文字が手書きでもいけるのは、機械でOCRをかけたあと、人間が確認をしてるから。ものすごい数の人間が、分業で確認をしているので。

――:デジタルなのかアナログなのかって感じですね(笑)

高:そうそう。そういうサービスが、今は普通にあって。例えば、ミーティングがあったときのノートの画像に書いてある手書きの文章があって、それが、テキストデータになるよって。それをコピペするとメールでも送れると。

――:あっ、ほぇー。すごー。人海戦術だけどすごい。

高:人海戦術だけど、全部を誰かが打ち込んでるわけではなくて、すごい細切れにして色んな人に、振るの。

――:へー。

高:さっきの蛍光ペンで囲って、ここの中が必要なんですよー、って言ってあげると、これがテキスト化されるっていう。もう1回打ち直すのが非常に簡単。

――:すごい。論文の引用とかに使えそうですね。

高:そうそう、だから古い文献とかのあれを、見ながら引用するとかいうのが、すげー簡単にできたりする。ただ調子に乗ると金がかかる。

――:(笑)

――:では、まさしくインタビューの最後、みたいな質問ですけど、「文具って何ですか?」

高:あー、それは非常に難しくて、結局文房具は文房具でしかないんだよね。自分が何かをやりたいっていう時の何かを表現するための中間の道具でしかないんです。

――:おお、案外淡白ですね。

高:だってモンブランを買ってきたって字ヘタな奴は、字ヘタなんだよね。

――:たしかにそうですね(笑)

高:それも半分は人のせいなんだよね。文具は単にそれをアシストしているただの道具なので。だけど、気の利いた道具っていうのがあったりするので、人の知恵がそうやって結晶化してる部分はあります。ほんのちょっとしたカーブや太さの違いだったり。人はそれで、作業がしやすかったりしにくかったりするわけですよね。これは文具っていうよりは、道具全てに対して言えることだけど。そういう道具としての配慮みたいな部分が僕としては非常に面白いから、今関わってるんです。

――:おー。

高:だから「あなたにとって文具とは何ですか」って言われても困るっていう。「別に文具だよ」みたいな(笑)

――:(笑)

高:そういう質問って、「何も考えてないだろ!」っていう感じの質問なんですよね。

――:確かに僕も、記事の締でも使おうかなと思ってたくらいなので。

高:ね。「文具って何ですか」って、うーん、「強いて言うなら文具みたいなもんです」(笑)

――:そのまんま(笑)

高:でも、皆さんが思ってる文房具とたいして変わらないかなと思いますよ。別に文房具というコレクションでもないし、美術品でもないし、それこそ単に文房具なんで。だからどうっていうほど、どれも大して偉そうなものはないわけで。別にココから人生が見えてくるとも思わないし。

――:(笑)

高:本当に、ただただ道具なんで。だから、いいものっていうか、自分に馴染むもの、自分の気に入ってるものを使うと、ちょっと作業がはかどったり、ちょっと、いい感じに進むかな? っていうぐらいのことなんでね。気持ちよく仕事ができたらいいなっていうぐらいのことなの。

――:文具は道具、ですね。

高:「ただの言い換えだ!」っていう(笑)。その道具の中には、実は色んな人が考えた知恵みたいな部分が含まれているんだけど、それは言語化するのが難しいんだよね。

――:ほうほう。

高:言葉として表現するのは非常に難しいから、やっぱり文具として持っとくしかないかな(笑)。

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