NAOTO :「ポップスを奏でる唯一無二のヴァイオリニスト」

2013年3月

取材・文/元林里穂 協力/鋒ともみ


NAOTOさん


  • NAOTO(なおと):東京藝術大学附属音楽高校、同大学音楽学部器楽科卒業。10代の頃より既にプロのアーティストのレコーディングやライブサポートで活躍するなど頭角を現し、CDデビュー前にも関わらずライブハウス等での自身の公演は常にソールドアウト。満を持して、2005年1st Album「Sanctuary」でアーティストデビュー。クラシックからポップスまでジャンルに囚われない高い音楽センスを生かした演奏と既存のヴァイオリニストの概念を覆すパフォーマンスでオーディエンスを魅了し続けている。http://www.naoto-poper.com/

NAOTOさんがポップスの世界を選んだ理由

――:NAOTOさんがクラシックではなく、あえてポップスの世界を選んだ理由を教えてください。

N:「クラシックの学校にずっと通っていたんですけど、子供の頃はベストテンを見て育ったから、J-POPが好きでした。G-CLEF(ジークレフ)というインストゥルメンタルバンドが大学の先輩たちにいまして、彼らは紅白歌合戦に出演するまで人気があったんですよ。僕も憧れてコピーバンドをやっていたんです。技術的に演奏は出来るんだけど、バンドとして出来上がった音楽が全然かっこ良くなかったんです。『先輩たちはカッコいいのになあ。何が違うんだろう、ちゃんとポップスを理解して弾かないとかっこ良くないんだろうなあ』と思ったのが最初のキッカケですね。

N:その後に、僕は大学1年の終わりの頃からスタジオミュージシャンとしてレコーディングやライブの仕事をさせて頂いていたんですが、その中でザ・イエローモンキーさんのコンサートで、演奏させて頂く機会があったんです。当時、僕はセカンドヴァイオリンを弾いていたんです。本番中にファーストヴァイオリンの方のソロ演奏があったんですけど、マイクトラブルで音が会場に出てなくて、急遽、僕が代わりにソロを弾いたら、その瞬間、お客さんがどっと沸いたんですよ。『これはすごい!』って思ったんです。

N:クラシックの場合、例えばコンチェルトやソナタだと1楽章があって、2楽章があって、3楽章があって、ものによっては4楽章まであって…。クラシックは全楽章を通した総合的な判断で評価をするという芸術なので、拍手をもらうまで、すごく長いんですよ。そのライブで僕がソロを演奏した後も、もちろん音楽(演奏)は続いているわけで、ボーカルの方も歌っているわけで。お客さんが盛り上がりたい時に自由に盛り上がって自然と歓声が出る。この時に『なんて感情に素直なジャンルだ。これはこれですごく素敵だなあ』っていうのを実感して、これで完全に心を掴まれましたね。

N:あとは、学生時代の同級生が、みんなとても上手なんです。例えば、僕がクラシックをやっていて、僕のコンサートと僕が上手だなと思っている同級生のコンサートの日程が重なったとします。クラシックなので、演奏曲目が同じになることは多々あるんですよ。そうなった場合、好みにもよるけれど、多少なりともお客さんの取り合いになってしまうんです。ただでさえ、クラシックを聴いてくれている人口が少ないのに、そんな大事なお客さんを奪いあわないといけない可能性がある。なおかつ、僕もその人の演奏を上手だと思っていたら、そっちのコンサートに行っても仕方がないって思ってしまうと思うんですよ。

N:でも、ポップスのコンサートだったら、僕が作曲した曲を僕が演奏しているコンサートと、僕のオリジナル曲を他の誰かが演奏しているコンサートがあったら、そりゃ本家の方を選びますよね。仕事を始めた18歳頃から20歳頃まで葛藤してたんですよ。クラシックにするか、ポップスに転向するか。でも、いろいろな方と仕事をして客観的に考えた結果、誰にも真似できない『オンリーワンになりたい』って思ってポップスを選びました。

――:なぜあえて『ぽっぱあ』と名乗って活動されているのですか?

N:別に深い意味はないんです(笑)。ロックをやる人はロッカー、ジャズをやる人はジャズマン、クラシックをやる人はクラシック奏者っていうじゃないですか。あとは、ピアニストとかヴァイオリニストとかもありますよね。でも、ポップスをやる人の呼び方がないって思ったんですよ。

N:僕の場合、ヴァイオリニストっていうと、『ああ、クラシック弾いているんですね』って言われて、それだと僕の肩書きにはならないんですよね。自分なりにポップスをやる人の呼び方を考えて、二択にしたんです。『ポッピスト』にするか『ぽっぱぁ』にするか。響きからして『ポッピスト』はないですよね(汗)。それで『ぽっぱぁ』に。でも、アルファベットで『POPER』って書くと、何かわからないですよね。なので、ひらがなで書こうと。日本人ならこれでわかるだろうと。ただそれだけです(笑)。

line line line line line line line